
小野慶子
Profile
航空会社で働くことを夢見て、英語学科を卒業。
アパレル商社、広告代理店、料理教室の講師を経て、2015年に旦那様の転勤で台湾へ。
現在は旦那様が経営されている広告系企業のサポートを行っている。
また、台湾で料理本を出版する等幅広く活躍。
今晚吃什麼?(夕飯何にする?)
https://www.books.com.tw/products/0010823802
私たちがお世話になっている、小野さん(旦那様)にChiitaのインタビューをご依頼したところ、快諾下さったのと同時に「妻が台湾で料理本を出しているのでインタビューするのに面白いかもしれない」とご提案下さりました。
お言葉に甘え台北のすぐお隣、新北市のオフィス兼ご自宅にお邪魔しお話を伺ってきました。

Interviewer現在海外(台湾)で生活されていますが、海外や語学にもともと興味があったのですか?
慶子さん
幼稚園で英語の授業時間があったこともあり、昔から「英語を話したい!」という気持ちは持っていました。
将来の夢は「航空会社で働くこと」だったので、大学も英語学科のある学校を選びました。
でも、就職難と航空会社以外考えておらず就職にピンとこないまま1か月ヨーロッパを一人旅。
帰国後、もう一つ興味があった業界「ファッション」のアパレル商社へ就職し3~4年働きました。
でも、やっぱり航空会社への就職が諦めきれなくて。
年齢的に外資系航空会社での求人になってしまうため「英語が必要!」と会社を辞めてオーストラリアに半年間語学留学へ行きました。
慶子さん 海外で働くかどうかは別として、海外に行くことや外国の人とコミュニケーションを取ること自体に違和感はなく、そういう意味では「自分もいつか海外にいくんだろうな」とは考えていたと思います。

Interviewer 働きながら留学準備をするのは大変だと思いますが、どのように準備されたのですか?
慶子さん
留学資金。重要ですよね。
私の場合はOLをしながら週末もクッキングスクールでアルバイトをしていました。
元々は生徒としてクッキングスクールに通っていたのですが、スクールからお誘いいただいて。
月曜~金曜はOLとして。週末はアルバイト。
もちろん辛いとも思いましたが「オーストラリアに行く資金」という目的があったのと、やっぱり「好き」と思えるアルバイトだったので、両立し続けることができました。
Interviewer オーストラリア留学中のご様子は?
慶子さん
高校生の時、シドニーへ行ったのですが印象がすごく良くて。だから留学もオーストラリアに決めました。場所はケアンズです。
ただ、想像と全然違って訛が強く、コミュニケーションが上手く取れないことにずっとモヤモヤしていました(笑)
航空会社への就職のために英語を学びたかったので、自分自身も頑なに訛に合わせることをしませんでした。
結局モヤモヤしたまま語学学校を卒業し、オーストラリアから航空会社に履歴書を送りエントリーしましたが結果はダメで。。
でも不思議と「また頑張ろう」という熱い思いがありませんでした。
それがちょうど30歳前。30歳前後って人生について立ち止まって少し考えることがありますよね(笑)
帰国後、広告代理店で働くことになり、別の広告代理店に勤めていた彼(ご主人)と出会い結婚しました。
Interviewer 素晴らしいタイミングですね!
慶子さん
はい(笑)
結婚を機に、留学前にアルバイトをしていたクッキングスクールで講師の資格を取得。
その後、彼が福岡転勤になったので私も福岡でクッキングスクールの先生として働き始めました。
講師はすごく楽しくて福岡で約4年。その後、主人の転勤先、神戸のスクールでも講師を続けました。
そもそも料理は趣味として始めたので仕事にするつもりはなかったのですが、それが今に繋がっています。
そして主人の次の転勤先が台湾に決まり現在にいたります。

Interviewer 国内での転勤と、海外への転勤。インパクトがだいぶ違うような気はしますが、抵抗はなかったですか?
慶子さん
台湾には行ったことなかったのですが、全然抵抗はありませんでした(笑)
私自身、自分で決めちゃうタイプの人間なので、両親からも反対はなかったです。
もちろん中国語は分からなかったけど、大阪に長く住んでいたので「違う世界を見たいな」という気持ちでした。
環境が変わらないと人は変わらない。知らない環境の方が「自分がどういう人間か分かる」とも思っていました。
今で丸4年。あっという間でした!
今も聞こえていますが、昼でも夜中でも爆竹とかよく鳴るんです(笑)
日本ではなかなかない。面白いでしょ(笑)
Interviewer
こういった台湾での音も含め、日常になじんでおられますね!
4年経って、中国語はどうですか?
慶子さん
相手が言ってることは分かるようになりました。買い物も大丈夫です。
最初は語学学校に行って勉強してたのですが、厳しすぎて泣いていました(笑)
もちろん教え方が厳しいというのではなく、「言おう」と思っているのに「伝えられない」というのが状況がもどかしくて・・・。
語学って筋トレと一緒で、基礎がないと全然ダメなんですよね。
Interviewer 他には語学習得で何かしていましたか?
慶子さん
台湾では、言語交換の友達を探す人が多いんです。
私も学校に行きつつ言語交換の友達を知人に紹介してもらいました。
その相手が、日本語堪能なフリーライターをしている方で、出版のパートナーです。

Interviewer 出版の話がついに出てきましたね!
慶子さん
別の出版系イベントに、その言語交換の友達と行った際、彼女の知り合い編集者さんから、「料理本出しませんか?」と言われて。
当時はもちろん冗談だと思って、その話はすっかり忘れていたんです。
料理のことをSNSで上げることも、料理のアピールもしていなかったですし。
ところがそのイベントから1年後「企画が進みました!」と急に連絡が来て(笑)
そこからはどんどん話が進みました。
私はもちろん会議にも出ていないですし、知らない間にその友達が編集者さんに推してくれていたみたいです。
「この3日間で撮影します!」と連絡があり、バタバタと大変でした(笑)
でもやっぱり、普段家で作るのと見てもらうのは異なり、意識できて良い経験ができたと思っています。


Interviewer 以前当サイトでもインタビューさせていただいたIku老師さんも推薦されていますね!
慶子さん
そうなんです!私Ikuさんの大ファンで。
ファンの集いに行った時は嬉しすぎて泣いてしまって、Ikuさんもびっくりしておられました(笑)
海外に住むと感受性が豊かになるのか、涙もろくなったみたいで。
ラグビーのワールド杯もずっと応援していて、リーチマイケル選手がぶつかる度に泣いていました(笑)
Interviewer 海外に出てから感覚が変わってきた。
慶子さん
日本ほどモノがないからですかね。何にでも感謝するようになったとも感じます。
身近では、スーパーの品揃えも違います。
日本は年中同じ食材を手に入れることができるけど、台湾はそうでない。
魚もちょっと違いますし。
主人があまり冷凍食品を好むタイプではないので、自宅で日本食を作ることが多いのですがやはり食材には工夫が必要ですね。
Interviewer
奥さんの手作りが美味しいから、嬉しいでしょうね!
今は、旦那様の事業を一緒にされているということですが、お仕事のお話を聞かせて下さい。
今は旦那さんと一緒の会社でどのような仕事を担当されていますか?
慶子さん
日本のゲームのまとめサイトのライターアルバイトを管理しています。
アルバイトは台湾人か日本人留学生でだいたい50名くらい。
色々なアルバイトさんがいますよ。
日本のように、期日・約束が当たり前ではないので、依頼していた期日に記事が上がってこないことは日常です。
ペナルティを作るなど色々工夫をしましたがあまり上手くは行かず。
今は伝えないといけない事は伝えますが、基本的には「あなたに合わせますよ」というスタンスに変えました。
とは言え、提出記事数の目標はあるものの、記事が全く上がってこないこともあります。
もちろんこちらも不満に思うことはありますが、ネットの仕事はネット上で叩かれやすいので、コミュニケーションには注意を払っています。
あまり強くなりすぎないように。誤解を招かないように。
恐れているわけではないですが、結果的にそのやりとりに時間を取られたくないので、全身全霊を持って、対応するようにしています。
1つのルールに全員がはまらないと思いながら、アルバイトさん達に接しています。
「日本の会社だからこうして!」とも思わないし、「楽しかったらいいよ!」というスタンスです。
また台湾のアルバイトの方は、お給料より「働きやすさ・ストレスの少なさ」の方を重視している感じはします。

Interviewer 「やってしまった!」などご自身の失敗は何かありますか?
慶子さん
「言わないと分かってもらえない」ということで失敗したことがあります!
日本での普通がここでは普通じゃない。
以前、IKEAにカーテンを買いに行き、窓のサイズを店員に伝えて、買った商品を後日取り付けに来てもらったんです。
壁に穴を開けて作業をしてもらい、「できました~」と言われたので見たら・・・
カーテンの長さが足りず、しかもなぜか下に合わせてしまっているので、窓の上方に隙間がある状態に!
「足りないから下に合わせておいたよ!」と。
サイズを伝えて買ったのに、なぜカーテンの長さが足りないんだ・・・
足りないからと言って、なぜ下に合わせるんだ・・・
結局、付けなおしてもらいましたが、壁に穴が開いてしまったので、自分で穴にシールを貼っておきました。笑
カーテンを付ける作業をしてもらう時、見ておけばよかった、、、と後悔。
やっぱり、自分が当たり前と思っていることでも、しっかり言わないと分かってもらえないと痛感しました。
Interviewer
壁に穴はショックですね。。。
そんな経験もある中、海外での生活は楽しいですか?
慶子さん
楽しいです!
もちろん日本は素晴らしい。ほんと完璧に近い。誇らしくも思います。
でも不思議と日本に帰りたい!とも思わないんです。
最終的に日本で仕事をしているかもしれないけど、無理やり日本を選択することはないです。
台湾に対しても「生活が嫌!」と思うこともないですが、執着もないです。
私たちは「仕事がある場所(国)」であればどこでもいいと思っています。
ヨーロッパやアメリカに行くかもしれない。
今はアジアがいいかな。
エリア自体に可能性があるように感じる。
絶対にこれから街も国も栄えていくし、変化を見ていくのも楽しい。
ちょっと期待しているんでしょうね!

Interviewer 最後に、これから海外で仕事したい、留学したい人に向けてアドバイスをお願いします!
慶子さん
そんな言える立場じゃないですけど・・・
でも「現実をしっかり見て!」とは思います。
自分は「航空会社で働きたい」という夢を見る、夢見る夢子ちゃんだったので。。
時間は平等に限られている。
その制約の中で「何のために海外に行っているのか。」をちゃんと考えて、その人なりに精一杯頑張ってほしいです。
海外で生活する。働く。それ自体が貴重で素晴らしい経験ですから。
Editor’s note
編集後記ご自身で「夢見る夢子ちゃん」と仰っていますが、幼い頃から海外に軸があって、めぐり合わせも含め、全部が結びついていると感じました。
雰囲気は大変穏やかで、優しさが滲みでておられる女性。
同時に、軸をしっかり持たれてる同じ女性として憧れを抱く方でした。